F-BLOOD SPECIAL INTERVIEW

●新型コロナとF-BLOOD

フミヤ(以下F):いやー、なんだか大変な時代になってしまったよね。しかも、コロナはまだ収束していないし。とにかく今回は会報が発行できてよかった。


尚之(以下N):もう、我々の業界とか仕事に限ったことではなく、人の日常生活や価値観が変わりつつあるよね。これからも、さらに変わるんでしょうね。


———時系列で振り返りますと、日本では1月から新型コロナウイルスのことが本格的に報道され、2月中旬から国内の多くのイベントが中止や延期となりました。2月末にはフミヤさんのシンフォニックコンサート延期、3月末にはF-BLOODツアー中止を発表。4月7日には政府が緊急事態宣言を出し、翌日8日がアルバム「Positive」発売日でした。その後お二人は、4〜5月にかけて、YouTubeで配信。5月25日には東京でも緊急事態宣言が解除されました。そして7月11日には無観客ライブを配信。2月以降、お二人はいかがお過ごしでしたか。


F:まず、俺たちはツアーのことがあったから、毎日「どうする?」「どうなりそう?」と状況を見守っていた。ある程度まで来て、ああ、もうこれは無理だなということで、中止を発表した。今回のツアーは、どうしても会場がライブハウスだったからね。クラスター発生がニュースになっていたのもあって、早目に決断できたのは救いかもしれないけど。本当なら7月までツアーしてたはずが、ポッカリとなくなって休業状態に。あとは時期的に、アルバムのプロモーションもできなかったね。


N:本来なら、がっつりスケジュールが組まれていたはずでしたからね。命に関わることですから、しょうがない。出演者だけでなく、携わるすべてのスタッフや業者さんに関係してくるので、本当に大変なことになってますね。音楽に限らず、舞台や映画を含む文化芸術、あとはスポーツ観戦も全部そうだもんな。テレビも撮影自体がなかなかできないし。舞台をやったらクラスター発生というのもあったし、まだまだ安全というところまで来ていないんだよなぁ。やはり気をつけていても、締め切った空間で人が集まると、こうなる恐れがあるんだなと。野外はまだいいかもしれないけれど。でもイベントに限らず、普段の会食や移動や旅行にすら、怖さとか抵抗感が出てしまう状態だもんね。


F:そんなこんなで、俺らは強制的に休み。デビューしてから現在に至るまで、これほど長い間、仕事が休みになったのは初めてなんだよ。しかも、今回はただの休みではなく、命を守るため。時間はあるのに、やりたいこともやれない特殊な状態。


N:そう。家にこもることしかできない、っていう。今回は自分だけの問題じゃなく、知らないうちにウイルスを運んで他人にうつしてしまうかもしれない、というのが大きいよね。しばらくは、気をつけて暮らすしかないもんなぁ。


F:実際2ヶ月ぐらい、家族以外ほぼ誰とも会わなかった。唯一会うマネージャーとも最低限だけ。事務所もテレワークになったし。


マネージャー:緊急事態宣言に入る直前にYouTubeライブを3本撮って、昼間の番組に出て、その夜に緊急事態宣言が出ましたからね。以降は、ラジオ出演もリモートになっていきました。


F:そう、あれがギリギリだったね。1日遅かったら、あの番組もリモートになっていた。


N:みんな手探りで、急な対応をして大変でしたよね。あるラジオ番組は、本当は俺ら二人で家から電話出演するはずだったんだけど、どうもうまくいかなくて。もう、兄にお任せして一人で出てもらいました。


F:そう。家に尚之に来てもらって二人で出たりしたんだけど、うまくいかなくて「もう俺一人で出るわ」って。いろいろ、前代未聞の状況だからね。緊急事態宣言が出て1週間ぐらいの渋谷の街は、本当に人がいなくて車も走っていないし、店は1軒もやっていない。まるで正月のような…いや、正月でもこんなことはないな。まるでゴーストタウンのようだった。今回のことで、俺らの日常の一部であるツアーというものが、いかに幸せな仕事だったのかというのがよく分かった。演奏しながら全国を回って、喜んだり感動してもらえるなんて、最高だよね!


N:そうなんですよ。俺らはそれを、デビュー以来、欠かさずやってきた。というか、この仕事しかやってきていないわけですよ。それが今は、人間が集まることができない、集まっちゃいけない、人を集める仕事をしてはいけないっていう、ものすごく異常な事態だよね!もう、価値観みたいな土台から考えなきゃいけなくなったのかなと思います。なにしろウイルスは目に見えないし、みんな初めてのことだし、対応や対策に追われていて。今後、リアルイベントというものがどういう形になっていくのか分からないけれど、柔軟に変化していくんでしょうね。