FF SPECIAL INTERVIEW #2

ついに旅の終わりを迎えた「47都道府県コンサートツアー 2025-2026 FUTATABI」。
前ツアーである「40th Anniversary Tour 2023-2024」から通算すると、約3年もの間、ファンに歌を届けるために全国を巡ってきたフミヤ。
旅を終えた現在の気持ちとともに、各地で好評を博したステージについて振り返ってもらった。

フミヤ(以下F):まずは、ひと息ついているところ。気持ちとしては、やっぱり安堵や達成感が大きいね。ついに終わった、完走できてよかった!という感じ。まだ10月のアリーナライブがあるから、プロジェクトとしては完全には着地していないけれど。あと、解放感もありつつ、ちょっとした寂しさみたいなものもある。前のツアーと合わせて3年ぐらい、常に自分が“FF”という何か大きなもの、コミューンに包まれて生きている感覚が強かったんだよね。もちろん普段からFFは近い存在なんだけど、ツアー中は全国各地でもネット上でも、どこに行ってもファンがいてくれる。ほぼ毎週末コンサートで会う機会があり、それ以外の日もcomu comuで盛り上がり、さらにコンサートを観た人は数日間その話題で楽しんでくれる。今までのツアー後にこういう感覚になることはあんまりなかったから、それだけどっぷり、みんなと時間を共有して過ごしてきたということだろうね。

F:そう。最初は周年ツアーだから、と思って始めた。それが、やっていくうちに自分でも予想以上の手応えを感じられて、終わった時点では「これはすごくいいもんだな。もう1周するか!」となったんだよね。自分でも、まさか2周目をやるとは思っていなかったのに(笑)。こっちからみんなの地元に出向いていったら、とても喜んでもらえたし、初めて観に来てくれる人との出会いも生まれやすかった。そもそも“藤井フミヤ”という存在は、何十年も前からこの世にいたわけじゃん(笑)。でも、実際にコンサートに足を運ぶというのは、何かきっかけがないとね。少なからず、そのきっかけになれたのがよかった。かつ、そこで生まれた軽い“藤井フミヤブーム”のような波を日本中に広げるには、1回で終わるのではなく2回目が大事だなと。例えば、観た人が「藤井フミヤのライブ、よかったよ」と友達に話したり、Xとか外部のSNSで呟いたりしてくれたとする。それは別に強いおすすめじゃなくても、周りにじわっと伝わる。そういうリアルな体感が、各地元で地味に広がってくれるのがベストなんだよね。すでに1周目の時、そういう波が起きているのを実感していた。だからこそ、「また来るらしい」という機会があるのが大事だと思ったんだよ。そのためにも、気合を入れてもう1周しよう、と。

F:やっぱり、歌を届けにもう一度訪れることで、みんなに喜んでもらえたのが何よりだった。インスタとか、前回以上に旅らしいこともやれたし。大変ではあったけれど、それ以上に充実感があった。ボーカリストとしては、かなり鍛えられたね(笑)。コンディションを保つための日々の過ごし方が、修行みたいなものだから。ライブをやって、東京に戻って2日間ぐらいメンテナンスして、ちょっと休んだら次の公演に出かける。もちろんライブ以外の日もぼーっと休んでいるだけじゃないし、他の仕事も入ってくる。自分からやると言い出したくせに、やってみたら、かなり体力を使った(笑)。前回はやや日程が詰まっていたから、FUTATABIは少し余裕のあるスケジュールにしてもらえたんだけど、そのぶん期間は長くなる。飽きたりはしないけれど、かなりの本数をやっても、まだまだあるなぁとは感じた。だから今回の方が、最終日の“やり切った感”はより強かった。あと、強い喉を持っていてよかったなと思ったよ。声帯は筋肉だから、この3年間ですごい回数の筋トレをしたわけじゃん。さらに鍛えられたと思うよ(笑)。ここまで比較的ずっと健康でいられているのも、身体が丈夫だからだろうね。これもありがたい。もはや旅がルーティーンだったから、身体も心も整えるのが上手くなった気がする。家に帰ると、スーツケースは常にパカッと開けておいて、多少の入れ替えや補充をして、次の旅に出かける……その繰り返しだったから。

F:そうなんだよ、まさに旅芸人そのもの(笑)。実際、そうやって全国を2周してきたことが、ボディブローみたいに確実に効いている感じがするんだよね。いわゆるファン以外の一般の人は、自ら藤井フミヤの情報をチェックするわけではないじゃん。でも、SNSでコンサートの感想を目にしたとか、WOWOWを観たとか、ボクシングの試合での国歌斉唱や、ドラマ主題歌とか……どこかで俺の歌う姿や名前を目にして、「コンサートを観てみたい」と言ってきてくれたりする。なんとなく、“歌っている感”が伝わるんだろうね。それが「一度観てみようかな」というきっかけになっているのを、じわじわと実感している。

F:そうだね。あれだけの本数を一緒にやってきてくれたから、メンバーたちも“終わった感”が大きいと思うよ。今回のメンバーは、8ビートのロックやロックンロールがめっちゃ上手い。だから、踊れる曲も全部8ビートを選んで、横揺れで踊るような16ビート系は入れなかった。もちろん、こういうコンセプトだからこのメンバーでいこう、というのもあるし、ツアーごとにバンドの良さを生かした選曲やアレンジになるから。

F:2ツアーともチェッカーズとF-BLOODとソロをバランスよく入れた内容で、今回は前回入り切らなかった曲も盛り込んだ。最初、これだけの長いツアーだと、少しは曲を変えていくことになるだろうなと思っていた。でも、あまりにベストなセットリストだから変える必要がなくて、最後まで基本的に同じだったね。冬は、クリスマスソングや冬の歌を入れることで多少は変えたけど、それも最小限。むしろフィギュアスケートの選手のように、同じ演目で完成度を上げて高得点を狙う感じになっていった。やっぱり、まだ行っていない地域があり、まだ観ていない人がいるからね。もちろん、何本も来てくれる人もいるけれど、基本的にはコンサートって、今日という1回に来てくれている人のために作るから。よほど、バージョン違いで何パターンもやるツアーじゃない限りはね。

F:会場全体が盛り上がるための起爆剤となるのが、FFを中心としたファンなんだよ。1曲目で、その火をつける感じ。まず熱いファンという起爆剤がバーンと破裂するからこそ、久しぶりの人や初めて来た人も、それに乗せられて盛り上がれるじゃん。そして、その雰囲気のままコンサートが進んでいき、メジャーな曲がいくつも入ってくる。3曲に1曲ぐらいは耳にしたことがある曲が出てくるような勢いで、終盤になってもまだ「ギザギザ」や「ジュリア」が出てきて盛り上がる。あと、パフォーマンスにも変化を加えた。「なんかいいこと」の帽子の演出とか、「WE ARE ミーハー」でのフミヤコールとか。どっちも、このツアーから始まった。

F:そう。こうやったら盛り上がるんじゃないか、変化ができて面白いんじゃないか、というアイデアをどんどん試してみて、反応がよかったらレギュラーとして取り入れていく。だから、選曲はもちろんだけど、そういう演出やパフォーマンスも散りばめたことで、飽きずに楽しんでもらえたんじゃないかな。今回は全体的に、セットリストと客席の相乗効果がうまいこと生まれていたと思う。

F:最初のブロックは、マイナーコードの曲でまとめた。今回は「Room」を入れたいというのがあったんだよ。ただ、イントロの感じからいくと1曲目には適さない。だったら1曲目はどうするか?と考えて、パフォーマンス的にも「女神(エロス)」が最適だなと。そこから「Room」に続いていく流れにした。

F:そうなんだよな。ここでしっかり全部の要素がはまって、本編が進んでいくという。次が、バイクの音から始まるチェッカーズのオリジナル曲のコーナー。「Long Road」は、ソロでもアルバム「ReTake」でやっている。チェッカーズ時代の原曲とはアレンジを変えて、尚之のアコギを前面に出した。F-BLOODバージョンみたいな雰囲気にしたくて。そして6曲続く長めのブロックは、この辺りで「TRUE LOVE」を聴いてもらおう、ということを軸に考えた。「Little Sky」から始まって、青春の歌やラブソングといった6曲が並び、ゆっくりゆっくり盛り上がっていく。ここはハートブレイクとかではない、安心できるようなラブソングと、気持ちが明るくなる曲。「SEVEN WONDERS」や「なんかいいこと」で、最後のブロックとは違う盛り上がりを持ってきた。

F:あれさ、最初のうちは間奏の間に帽子がステージに戻ってきたんだけど、途中からは、もう曲いっぱいいっぱいまで戻ってこないっていう(笑)。でも、客席に投げたものがちゃんと戻ってくるっていうのは、すごいことだよね。みんな、偉いよ!(笑)

F:そう。「なんかいいこと」の帽子は、あの歌だけで使う。もうひとつの帽子と比べて、ちょっと柔らかいんだよ。もともと帽子のつばの外側にワイヤーが入っていたんだけど、力をかけるとグニャッと曲がってしまって戻らない。だから自分でワイヤーを入れ替えて、形状記憶みたいに型崩れしないようにした。つまり、「なんかいいこと」用の帽子として作り替えたわけ。

F:ここは、しっかりとバラードを聴いてもらうところ。かつ、「水色と空色」は新曲だからこそ聴いてもらいたい。この辺のパフォーマンスは、一人でやるミュージカルみたいな雰囲気で、主人公として動きながら歌う。「Another Orion」前のサクちゃんのピアノソロは、前回に引き続き、いい時間だったね。着替え中とはいえ、音楽自体を楽しんでもらえる。そして本編ラストのブロックは、もう体力勝負で喉勝負だね。とにかく突っ走る。中でも「危険なラブ・モーション」は、もちろん喜んでもらえると思って入れたんだけど、予想以上だったね! チェッカーズのファーストアルバムだから、おそらく繰り返し聴いてくれていたんだろうな。別にチェッカーズが好きとか嫌いとか関係なく、当時バーンと人気が出た勢いで、耳にする人も多かったと思う。そして、「WE ARE ミーハー」でフミヤコールして、「Stay with me.」になだれ込んで終わる。フミヤコールは、今まで「フミヤ」って大声で呼んだことがない人が初めて呼べた、というのに驚いたよね。言われてみればそりゃそうか、って(笑)。たしかに、そうそう大声で言えないよな。

F:アンコールは、たまに曲を入れ替えて、公演によっては「夜明けのブレス」とか、クリスマスソングとか。途中からは、新曲「ココロ」を入れられたのがよかった。ドラマのオンエアが重なるごとに、曲自体がどんどんメジャーになっていくような感じで、コンサートでもさらに盛り上がった。最後が「未完成タワー」。アンコールの中で唯一アルバム曲だったけど、これは知らない人がいてもいい。むしろ、この曲で終わることによって、探して聴いてみようと思う人もいたかもしれない。

F:そうかもしれないね。歌やメッセージも、しっかり伝わっている実感があった。きっと世代を問わず、その時その時で響くものがあるんだと思う。

F:そうそう。だってあの時、楽屋で乾杯して、そのまま座談会みたいに話しながらシャンパン2本空けたもんな! 大島くんが「楽屋でドンペリ2本ってすごいよね」って驚いていたから(笑)。あちこちでいただいたシャンパンを大事にキープしておいたのが、ようやく飲めてよかった。

F:あれもいい時間だった。いやー、みんな本当によく頑張ってくれたと思うよ。俺以外の仕事もやっているわけだから、日帰りの現場も多かったし。長いこと一緒に旅をして、一緒に食べたり飲んだりしてきた。かといって、みんなすごく喋るわけじゃないんだけど、飲み始めて1時間ぐらいすると饒舌になってくるんだよね。

F:さすがに、あの日はみんな飲んでたもんなー! なんせ楽屋から始まったから(笑)。

F:3周目はね、現時点で、もちろん行きたい気持ちはあるよ。本当にやるかやらないかは、まだ分からないけれど。若い時なら、またすぐやります!と言い切れるかもしれないけど、今の年齢だと、あまり先のことはなんとも言えないじゃん(笑)。

F:いや、2周目において、最後と思ったことはなかったな。1周目の時は、まずやってみようと思った。そしてよかったから、2周目をやった。そして次は、やれるならまたやってもいいな、という感じ。もしやるなら、さらに長期間にしてツアースケジュールを明確に前半後半に分けるとか、なんなら3回に分けてもいいかもしれない。ただ、すでにいくつも予定があるからね!(笑) まずはそっちを、ひとつひとつやっていく。

F:2ツアーの集大成で、約3年間のプロジェクトの締めくくり。このアリーナライブは、どう考えても最高に楽しいライブになると思うよ! なにしろ2ツアーのいいとこ取りで、めちゃくちゃ盛りだくさんな内容になるから。円形ステージならではの演出や曲もあるしね。セットリストは、すでに決めて制作陣に提出した。初めて来る人でも、半分近くは耳にしたことのある曲なんじゃないかな?

F:そうだね。俺も最近、いろんな知り合いから、やたらと「コンサート行きたい」って言われるんだよ。何が起きてるんだ?っていうぐらいの勢いで(笑)。さっきも話したように、番組出演とか主題歌とか、ちょいちょい目に触れる情報が影響しているんだろうね。実際、アリーナライブは誰が来ても楽しんでもらえると思う。リハーサルが始まるまで、あと3ヶ月か。それまでは、しばしストイックな体調管理から解放されるな。ただ、日々いろんな仕事があるから、調子に乗っちゃいけない。まあ、毎日飲んだくれるようなことはしない、っていう程度だけど(笑)。センターステージだから運動量も多いし、喉や体力を保つ努力をする必要がある。休むことで身体がなまってしまうのは嫌だから、ちゃんとスケジュールを立てて整えていきたい。なんせ、間違いなく盛り上がる内容になるからね。

F:この間は、伊勢に行ってきた。もちろん神宮にお参りもしたけれど、初めて伊勢の花火大会を観ることができた。これが一般的な花火大会かと思っていたらそうじゃなくて、全国の花火師が技術を競い合う競技大会だったんだよ。持ち時間とか、どの種類を何発打ち上げるとか、細かいルールが決まっていて、フィナーレは「鎮守の里」をバックにスターマインで終わるというもの。それでさ、大会に何十年も出ていた花火師の鈴木さんという人がいて、数年前に引退しちゃったんだって。鈴木さんは時々、競技には負けてもいいから規定より長く打ち上げちゃおうとか、そういうことをされていたらしい。その鈴木さんに「フミヤさんに一度見てほしかった」と言っていただいて。知っていたら引退前に行ったのに、それだけは残念だったなぁ。でも、花火大会を堪能できたのはよかった。

F:ありがたいことに、そうらしいんだよ。その花火大会でも、しばらく使われていて、ある時やめたら「やっぱり『鎮守の里』にしよう」ということで戻したんだって。実際、あれは歌詞も一語一語しっかり考えて作ったからね。

F:本当に、できることなら誰かに歌い継いでほしいぐらいだけどね(笑)。

※インタビュー以降に内容に変更が生じている場合があります。ご了承ください。